フードを変えたとき、いちばん早く変化が出るのがうんちだ。ただし「ゆるくなった=合わない」と即断すると、判断を誤る。何を、いつ、どう見るのか。観察の枠組みを決めておくと、相性の判断はぐっと安定する。
見る軸は①固さ ②量 ③回数 ④色とにおいの4つ。評価するタイミングは切り替え完了から1〜2週間後で、切り替えの最中の変化は「合わない」ではなく「慣れている途中」であることが多い。そして観察で判断できるのは「相性」までで、体調の問題は観察の範囲外だ。血が混じる、下痢が続く、元気がない——これらは相性の話ではなく、受診の話になる。
4つの軸
| 軸 | 見るところ | フードとの関係 |
|---|---|---|
| 固さ | 拾えるか。形が保たれているか。ベタつくか | でんぷん源・食物繊維の種類と量で変わりうる |
| 量 | 同じエネルギー量を与えた条件での1日の総量 | 消化・吸収されている割合の目安になる |
| 回数 | 1日あたりの排便回数 | 繊維量や給与回数の変更で動く |
| 色とにおい | いつもと比べてどうか | 原材料の変更で変わりうる。ただし急変は注意 |
大事なのは「いつもと比べて」という基準だ。犬種や個体で標準は違う。他の犬と比べるのではなく、その子の平常時と比べる。そのためには、切り替える前の状態を覚えておく必要がある。基本的な観察の視点は別記事で扱っている(→うんちの観察 ── 健康のバロメーターを読む5つのサイン)。
なぜ「量」が相性の手がかりになるのか
同じエネルギー量を与えているのに糞の量が少ないなら、そのぶん消化・吸収されている割合が高い可能性がある。これは消化率という指標が測っている考え方と同じだ——食べた量から糞に出た量を引く、という引き算である(→ドッグフードの「消化率」はどう測るか)。
ただし、家庭での観察を比較として成立させるには条件が要る。
・同じ犬で見る(他の犬との比較は意味をなさない)
・与えるエネルギー量を揃える(給与量ではなくカロリーで揃える)
・おやつ・トッピングを固定する
・十分な期間をとる(1日だけの観察では判断できない)
これらが揃っていない観察は、印象にはなっても比較にはならない。
でんぷん源と繊維で、うんちは変わる
フードを変えたときに固さや量が動く理由の一つが、炭水化物源と食物繊維の違いだ。小腸で消化されなかったでんぷん(レジスタントスターチ)は大腸に届き、腸内細菌による発酵の基質になる。豆類は食物繊維を比較的多く含み、レジスタントスターチも持つ——こうした違いが糞の性状に反映されうる(→グレインフリーの炭水化物源)。
つまりうんちの変化は、必ずしも「合わない」を意味しない。原材料が変わったのだから、変わるほうが自然な場合もある。問題は、その変化が落ち着くか、落ち着かないかだ。
いつ判断するか
| 時期 | 見方 |
|---|---|
| 切り替えの最中(7日程度) | 多少の変化は織り込み済み。ゆるくなったら一段階戻す(→フードを切り替える7日間) |
| 切り替え完了〜1週間 | まだ変動しうる時期。記録を取る |
| 完了から1〜2週間後 | ここで評価する。安定しているか、切り替え前と比べてどうか |
| 1ヶ月後 | 体重・体型とあわせて総合的に見る |
焦って判断すると、「慣れている途中」を「合わない」と読み違える。逆に、2週間経っても安定しない場合は、フードの見直しを検討する材料になる。
観察では判断できない領域
・血が混じる(赤い筋、黒くタール状)
・下痢が2日以上続く
・粘液が多く付着している
・嘔吐をともなう
・元気がない、食欲がない
・体重が落ちてきた
・急に強いにおいになった、色が明らかに変わった
これらはフードとの相性の枠組みで判断するものではありません。食事の調整で様子を見ずに、動物病院で相談してください。子犬・シニア・持病のある犬では、より早めの相談が安全です。
この線引きは意識して守りたい。うんちの観察は、フードを比べるための道具であって、診断の道具ではない。できることとできないことを分けておくほうが、結果的に犬のためになる。
記録のしかた
難しくする必要はない。スマホのメモに、日付と4つの軸を一行で残すだけでいい。写真を撮っておくと、あとで比べやすい。
| 記録項目 | 例 |
|---|---|
| 日付/新フードの割合 | 10/14・50% |
| 固さ | 拾える/少し柔らかい/形がない |
| 回数 | 2回 |
| そのほか | 色・におい・気になったこと |
2週間分あれば、判断には十分足りる。記憶ではなく記録で比べる——観察を印象論にしないための、いちばん簡単な方法だ。
FINEPET’S では、切り替えの手順と給与量の目安をあわせて案内しています。観察を成立させる条件から整えてください。
よくある質問(FAQ)
そうとは限りません。切り替えの最中は消化器が慣れている途中であり、多少の変化は織り込み済みです。原材料が変われば、でんぷん源や食物繊維の違いから糞の性状が動くこと自体は自然です。判断するのは切り替え完了から1〜2週間後で、その時点で安定しているかを見てください。
同じエネルギー量を与えている条件で量が少なければ、そのぶん消化・吸収されている割合が高い可能性があります。ただし比較として成立させるには、同じ犬で、与えるカロリーを揃え、おやつやトッピングを固定し、十分な期間をとる必要があります。条件が揃っていない観察は印象にはなっても比較にはなりません。
血が混じる(赤い筋、黒くタール状)、下痢が2日以上続く、粘液が多く付着している、嘔吐をともなう、元気や食欲がない、体重が落ちてきた、においや色が急に変わった——こうした場合はフードとの相性の枠組みで判断せず、動物病院で相談してください。子犬・シニア・持病のある犬ではより早めの相談が安全です。
参考文献
- “A comparison of two methods to assess apparent total tract digestibility of nutrients in dogs.” Archives of Animal Nutrition, 2019. doi:10.1080/1745039X.2019.1698899. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/1745039X.2019.1698899
- “The Effects of 7 Days of Feeding Pulse-Based Diets on Digestibility and Glycemic Response in Dogs.” Frontiers in Veterinary Science, 2021. doi:10.3389/fvets.2021.654223. https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2021.654223/full