このレポートの要点
- 本誌は、国内で流通する犬・猫向けプレミアムフード30ブランドを対象に、栄養成分の「開示レベル」を横断調査しました。
- 調査した4つの開示項目 ── ①ミネラル全種のmg/kg開示/②タウリン&L-カルニチンの同時mg/kg明記/③グルコサミン+コンドロイチンの両方配合/④FOS+MOSの両方配合 ── のすべてを満たすブランドは、30社中わずか1社でした。
- 多くのブランドは成分を「配合」とだけ記し、配合量(mg/kg)までは開示していません。そのため飼い主が成分量で各社を比較することは、現状きわめて困難です。
「グルコサミン配合」「タウリン入り」── パッケージのうたい文句は、あくまで”入っている”という事実を示すだけで、”どれだけ入っているか”は教えてくれません。本誌は、飼い主が本当に知りたい「成分の量と種類」が、実際にどこまで開示されているのかを調べました。中立的な調査として、特定ブランド名を挙げる形ではなく、開示状況の集計としてご報告します。
なぜ「成分の開示」が重要なのか
ペットフードの表示には、法令で定められた最低限の項目(原材料名・成分の概略値など)があります。しかし、微量ミネラルの数値、機能性成分の配合量、成分の「形態」といった、品質を左右する情報の多くは開示が任意です。
開示が任意であるということは、裏を返せば「開示しているブランドは、それだけ自社の設計に自信があり、検証に耐える」とも言えます。逆に、量を伏せたまま「配合」とだけ表記することは、ごく微量でも成立してしまいます。だからこそ、飼い主にとって「どこまで数値で語っているか」は、ブランドの誠実さを測る一つの物差しになります。
調査の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | FINEPET’S Lab 編集部 |
| 調査対象 | 国内流通する犬・猫向けプレミアムフード 30ブランド |
| 調査方法 | 各ブランドの公式サイト・パッケージ表示の公開情報をもとに、4つの開示項目の充足を確認 |
| 調査項目 | ①ミネラル全種のmg/kg開示 ②タウリン&L-カルニチンの同時mg/kg明記 ③グルコサミン+コンドロイチンの両方配合 ④FOS+MOSの両方配合 |
※ 本調査は公開情報にもとづく開示状況の比較であり、各製品の優劣を断定するものではありません。
調査結果 ── 4つの開示項目
① ミネラル全種を mg/kg で開示しているか
カルシウム・リンといった主要ミネラルは多くのブランドが記載しますが、亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレンなどの微量ミネラルまで、一種ずつmg/kgで数値開示しているブランドは少数でした。大半は「灰分(粗灰分)」として一括表記するにとどまります。微量ミネラルは、不足だけでなく過剰や比率の崩れも問題になるため、本来こそ数値で確認したい項目です。
② タウリン&L-カルニチンを同時に mg/kg で明記しているか
タウリンやL-カルニチンは、心臓の健康に関わる成分として注目されています。しかし、配合をうたっていても「量」を明記しないブランドが大半で、両方を同時にmg/kgで開示しているケースはさらに限られました。とりわけ猫はタウリンを体内で十分に合成できないため、量の開示は重要な意味を持ちます。
③ グルコサミン+コンドロイチンを両方配合しているか
関節ケアに用いられるこの2成分は、どちらか一方のみの配合にとどまるブランドが多数でした。両者は併用で語られることが多い成分であり、両方の配合は設計上のコスト判断が表れる部分です。
④ FOS+MOSを両方配合しているか
腸内環境に関わるプレバイオティクス(FOS=フルクトオリゴ糖、MOS=マンナンオリゴ糖)も、片方のみの配合が目立ちました。働きの方向性が異なる2成分を併せ持つ設計は、相対的に少数派です。
| 開示・配合項目 | 30ブランドでの傾向 |
|---|---|
| ① ミネラル全種 mg/kg 開示 | 少数。多くは灰分一括または主要ミネラルのみ |
| ② タウリン&L-カルニチン 同時 mg/kg 明記 | 少数。配合表記はあっても量の明記は限定的 |
| ③ グルコサミン+コンドロイチン 両方配合 | 一方のみが多数 |
| ④ FOS+MOS 両方配合 | 一方のみが多数 |
| ①〜④すべてを満たす | 30ブランド中 1ブランドのみ |
※ 各項目の充足は公開情報にもとづく。表記方針はブランドにより異なるため、配合の有無と開示の有無は区別して評価した。
4項目すべてを満たした唯一のブランドが、本誌を運営する FINEPET’S(KIWAMIシリーズ)でした。自社が調査対象に含まれる点は公平性の観点から明記します。参考までに、KIWAMIシリーズの該当値は次のとおりです。
| 項目 | KIWAMI DOG | KIWAMI CAT |
|---|---|---|
| タウリン | 1,100 mg/kg | 1,500 mg/kg |
| L-カルニチン | 200 mg/kg | 150 mg/kg |
| グルコサミン+コンドロイチン | 両方配合 | 両方配合 |
| FOS+MOS | 両方配合 | 両方配合 |
| ミネラル | 全種を mg/kg で開示(多くをアミノ酸キレート型で配合) | |
※ 数値は本稿作成時点のもの。最新の成分値は公式サイトをご確認ください。
なぜ、ここまで差が出るのか
差が生まれる理由は、大きく2つあると考えられます。
一つは開示そのもののコストです。全成分を一種ずつ数値で公表するには、ロットごとの分析と、その値に責任を持つ姿勢が要ります。「配合」とだけ書くほうが、はるかに手間がかかりません。
もう一つは設計思想の違いです。微量ミネラルをmg/kgで管理し、機能性成分を複数組み合わせる設計は、原材料コストと製造技術の両面で負担が大きくなります。量を語れるかどうかは、その負担を引き受けているかどうかの裏返しでもあります。なお本稿では、各ブランドの製造背景に関する固有名詞には立ち入らず、あくまで開示状況の事実のみを扱います。
飼い主が成分表で確認したい4つのポイント
本調査の項目は、そのまま「フードを見比べるときのチェックリスト」になります。手元のフードや検討中の製品で、次の4点を確認してみてください。
- 微量ミネラルまで数値があるか:亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレンが、mg/kgで書かれているか。「灰分」だけなら、内訳は分かりません。
- 機能性成分の「量」があるか:タウリン・L-カルニチンが、配合の有無だけでなくmg/kgで明記されているか。
- 関節成分は両方あるか:グルコサミンとコンドロイチン、片方だけになっていないか。
- 腸活成分は両方あるか:FOSとMOS、どちらも入っているか。
これらは「優劣の絶対基準」ではありませんが、ブランドがどこまで情報を開いているかを測る、実用的な目安になります。
まとめ
「配合している」と「どれだけ配合しているかを開示している」の間には、大きな隔たりがあります。本調査では、4つの開示項目すべてを満たすブランドは30社中1社にとどまりました。フード選びの際は、うたい文句ではなく数値で語られているかに目を向けることを、本誌はおすすめします。
各成分が体内でどのような役割を持つのかは、本誌の成分辞典で一つずつ中立的に解説しています。あわせてご覧ください。
参考にした情報源
- AAFCO / NRC / FEDIAF による犬・猫の栄養基準(各成分の要求量・上限)
- 各ブランドの公式サイト・パッケージ表示(公開情報)
- FINEPET’S Lab 編集部による横断調査(30ブランド)
EDITOR’S NOTE
本レポートで唯一4項目を満たした FINEPET’S「極(KIWAMI)」シリーズは、ヨーロッパの製造拠点でフレッシュミート加工により1袋ずつ作られるプレミアムフードです。成分をすべて数値で開示する設計思想を確かめたい方は、公式オンラインショップもあわせてご覧ください。